新しい発見
ぼくちんは、ラーメンが食べたくなった時、たいてい決まった場所にしか足を運ばない。
マジで歩いて数分とかのところにある家系ラーメンのチェーン店とか、家からバイクで10分くらいのところにある家系ラーメンの店とか、隣の駅の近くにある豚骨スープが自慢のラーメン屋とか、渋谷なら有名な家系ラーメンの店とか、なんとか油組とかいうまぜそばの店とか、とにかく一度入ってみてうめぇと思ったところにしか行かない。
今日もラーメンを貪りに街へ友人と繰り出したわけだが、友人が紹介してくれたのは、自分の住む市内にあるものの隣の駅にあるラーメン屋。名前も聞いたことなかった。というか漢字が難しくて読めない。そしてもう店の名前は覚えていない。
初めて入る店なので、一体どんなラーメンを出しているのか非常に気になるが、店内に入った瞬間、魚介系スープの匂いが漂っていた。
友人は、高校時代通っていたと言い、ラーメンには珍しいかき揚げの乗ったラーメンを勧めてくれたが、なんとなくかき揚げの口ではなかったので、その店で一番オーソドックスそうな(すなわち食券機の一番左上にあるやつ)メニューを頼むことにした。
平日の真昼間で、まさに駅の目の前に位置する店であったが、すぐ座れるくらいには空いていた。
厨房を見渡して、洗浄機から出したレンゲの先っちょがやたら茶色いのを見て、きったねぇ〜〜とか思いつつ待っていると、お待ちかねのラーメンが目の前に置かれた。
すまない。実は食べる前に写真を撮り忘れてしまったのだ。
読者の諸君は、自分のイマジネーションを駆使して、完成形を思い浮かべながらこの記事を読んでほしい。
と、まぁ、ご覧の通り透き通ったスープと細めの麺の上には、大量の削り節が鎮座している。
アゴ出汁ベースの魚介系だったと思う。
飲んだ瞬間に、お口の中は水族館。
スープの中には柚子の皮なんかが入っており、魚介のえぐみをかき消してくれる。
その辺の煮干しラーメンなんかと似た味のようで、後味は大変すっきりしている。
どちらかというと、あっさり目のスープだった。
そして麺をリフトアップする。
読者の諸君は、己のイマジネーションをフル活用して麺の写像を具現化してほしい。
柔らかめの茹で加減で、小麦の味がはっきり伝わってくる。
これもあっさりめのスープの恩恵を受けているからだろう。
そしてチャーシュー。
皆様の想像力のおかげで目の前にはくっきりと、硬くなるまで炙られたチャーシューが見えているだろう。
こんなラーメンは今まで出会ったことがなかった。まさに唯一無二かもしれない。いや、私のラーメンに対する世界観があまりに狭すぎるだけなのだろうか。
アゴ出汁と鰹出汁を合わせ、あっさりとした味わいの中に、小麦の風味が強く感じられる柔らかめな麺。そして友人のどんぶりに盛られたポケット六法くらいの厚さのかき揚げ。
信じられない体験をした。私はこれが、カルチャーショックなのだと痛感させられた。